物理ベースレンダリングチュートリアル~あなたもできるPBR
本チュートリアルは、あまり技術的な内容に入り込まない程度に基礎的なアートコンテンツ生成および様々なPBR標準の背後にある幾つかの根拠をカバーし、幾つかの共通の誤解を解消する事を目的にしています。また、Jeff Russellが素晴らしいチュートリアル"PBR基礎理論"を書いているので、読んでいない方はまずこちらを読む事をお勧めします。 本チュートリアルを書くにあたってJeff Russell、Teddy BergsmanそしてRyan Hawkinsには大変お世話になりました。また、 Wojciech KlimasとJoeri Vrommanには追加のアーティスト目線での見解、そして素敵なアートを提供していただきました。この場を借りて御礼させていただきたいと思います。目次
- 新しい標準
- PBR FAQ
- 入力要素と専門用語
- エネルギー保存則
- アルベド
- マイクロサーフェス
- 反特性
- フレネル
- アンビエントオクルージョン
- キャビティ
- マテリアル値の探索
- テクスチャ素材の生成
- Artist:Q&A:WojciechKillmas
- Artist:Q&A:Joeri Vromman
- 参考文献
新しい標準
PBRは計算能力の向上によりゲーム業界の標準に急激になろうとしていて、開発者誰しもがそのアートコンテンツパイプラインの標準化を求めています。つまりPBRは「どのように我々がアートを生成しレンダリングするか」について再定義を行わせるほどの存在となってきています。図:PBRの例
物理ベースレンダリング(PBR)は現実世界のマテリアルを正確に表現するための表面の計測値を使用したリアルなシェーディング・ライティングを使用した概念に基づいた手法です。
PBRは厳密な一連のルールをベースに多くの概念が存在します。例えば、現在様々な手法が提案されているPBRシステムの正確な実装方法といったようなものがそれにあたります。しかしながら、全てのPBRシステムは「できるだけ正確にレンダリングする」という同一の理論に基づいているので、多くの概念は容易にプロジェクトからプロジェクト、エンジンからエンジンに移植が可能です。Toolbag2はPBRシステムにおいて今後使用するであろう共通の入力パラメーターを網羅しています。
レンダリングの質よりも、(現実世界のマテリアルを正確に再現するという)無矛盾性の方が現実世界のマテリアル計測値を使用する最も大きな理由です。矛盾のないベースマテリアルを使用する事はアーティストにマテリアル生成作業において推測しやすい状況を導き出すでしょう。また、アートディレクションの視点から見ても、各アーティストが作成したコンテンツがいかなるライティング状況においても見た目が自然になる事を容易にすることでしょう。
PBR FAQs
チュートリアルを始める前に、未経験者がPBRについて語る際に通常出てくる共通の質問をカバーする事は重要だと思いますので、ここでは質疑応答形式でそれらを紹介したいと思います。1)私はPBRシステムの使い方を知りません。私はアートコンテンツの作り方を0から学びなおす必要はありますか?
ほとんどのケースでその必要はありません。もしあなたが前世代(PS3世代)のシェーダー(すなわち動的なパーピクセルライティングを使うシェーダー)の経験があるのであれば、あなたは既にPBRシステム用のコンテンツ生成に必要なほとんどの知識を持っている事になります。(PBRの)各専門用語がアーティストにとって障害になる大きな要因の一つです。なので、私は以下に各技術用語のセクションを設けて、各用語をアーティストにとってできるだけ噛み砕いて説明しています。ここで挙げてるほとんどの概念がシンプルで習得しやすいものとなっていると思います。
もしあなたの経験が純粋な絵画あるいはモバイルゲームのみであれば、ここで説明する新たな技術やワークフローを学ぶ事はかなりのチャンレジになるかもしれません。しかしながら、伝統的なノーマルマップに基づいたワークフローを習得するよりは難しくないはずです。
2)アーティストは彼らが作りたい各マテリアルのために偏光カメラシステムを用いて各物質に対して写実的あるリファレンスを取得する必要があるのでしょうか?
いいえ。一般的に共通のマテリアル用のリファレンスはスタジオ側で提供されると思います。代わりに、QuixelのMegascansサービスのようなサードパーティからの既に計測された値を容易に使用する事ができるでしょう。アーティスト自身でスキャンデータを生成する事はとても技術的で時間のかかるプロセスになります。よってほとんどのケースでは必要はないでしょう。
3)もしPBRシェーダーを使用したなら、それはアートワークも物理的に正確になるという事なのでしょうか?
必ずしもそうではないです。単にPBRシェーダーを使用する事はアートワークを物理的に正確に変えるという事にはならないです。PBRシステムは物理的に正確なライティング・シェーディングと適切に調整されたアートコンテンツの組み合わせとなります。
4)PBRを実現するためにメタルネスマップを使用する必要があるのでしょうか?
いいえ。メタルネスマップは単に反射特性を決定する一つの手法です。ただ、一般的にメタルネスマップはスペキュラーマップ/明度マップを使用するより多かれ少なかれ物理的に正確、といわれています。
5) PBRにするために屈折インデックス(Index of Refraction:IOR)を使用する必要はありますか?
いいえ。メタルネスマップの入力と似ていて、IORは単に反射性を定義する代替手段ですので必ずしも使用する必要はありません。
6)スペキュラーマップはもはや使用されない要素になるのでしょうか?
そうでもないです。スペキュラー反射明度あるいは反射特性はPBRシステムにおいて依然として"非常に重要な"パラメーターです。マップに直接反射特性を設定する事はなくなるかもしれませんが、その要素自体は依然としてPBRシステムにおいて必要とされています。
7)グロスマップはスペキュラマップに取って代わるものなのでしょうか?
いいえ。グロスあるいはラフネスマップはマテリアルのマイクロサーフェース(表面がどれぐらい粗いか滑らかを表す要素)を定義するもので、スペキュラー明度マップに取って代わるものではありません。しかしながら、もしこれまでグロスマップを使用して作業した事ないのならば、(既存のスペキュラーマップをベースにした)グロスマップに詳細情報を加えるために幾分調整が必要になるかもしれません。
8)PBRシステムは定型化した(スタイライズな)アートにも使用できるのでしょうか?
間違いなくできるでしょう。もし目標が幻想的で定型化された世界を創り上げることであれば、正確なマテリアル定義を使用する事は、依然としてとても重要な事です。たとえ虹を放つユニコーンを作る必要があっても、依然としてユニコーンのベースを物理的な光と物質の法則に則るユニコーンを必要とするでしょうから。
この良い例はPixarの作品です。これらはとてもスタイライズされていて、かつ最先端のマテリアルを正確に表現しています。ここではモンスターユニバーシティのPBRに関する素晴らしいFXGUIDEの記事"fxguide feature on Monsters Universit"を紹介しておきます。
入力要素と専門用語
PBRシステムの概念をよく理解していないアーティストはその専門用語のためにおそらくコンテンツ制作フローが大幅に変化すると予想するでしょう。もし現世代のシェーダーおよびアート制作技術での経験があるのなら、既にPBRシステムの多くの要素を既に経験している事になります。どの種類のコンテンツを作るべきかあるいは、現状のコンテンツにPBRシェーダーをどのように導入していくかを理解する事はおそらく分かりにくいと思います。なので、ここではPBRシステムを始める上での幾つかの共通の用語および概念を紹介したいと思います。
エネルギー保存側
エネルギー保存則の概念は「1オブジェクトは入射した光よりも多くの光を反射しない」事を意味します。図:エネルギー保存則の比較図~マイクロサーフェスと反射特性(0.0:拡散しやすく荒い~1.0:反射しやすく滑らか)
実用的な目的のために説明すると、(上図のように)より拡散しやすく荒いマテリアルは薄暗く反射し、よりぼんやりとしたハイライトを持ちますが、より滑らかでより反射しやすいマテリアルは鮮やかに反射し、鋭いハイライトを持ちます。
アルベド
アルベドは「基本的なカラー入力要素」で、一般にディフューズマップとして知られてます。図:アルベドの比較図
1枚のアルベドマップは、拡散光の色を定義します。PBRシステムにおけるアルベドマップと従来のディフューズマップとの最も大きな相違点は、平行光源あるいはアンビエントオクルージョンの要素が欠落している点です。平行光源はある特定のライト状況において不自然な見え方をするため、アンビエントオクルージョンの要素は別個のAOスロットに追加される事になるでしょう。
アルベドマップは時々、従来のディフューズカラーと同様の定義をする場合があります。例えば、メタルネスマップを使っている時にアルベドマップは絶縁体(非金属)のディフューズカラーや金属表面の反射特性として定義される事があります(?)。
マイクロサーフェス
マイクロサーフェスは「マテリアル表面がどれぐらい粗いかあるいは滑らかか」を定義するものです。図:マイクロサーフェスの比較図
ここでは、エネルギー保存則の理論がどのようにマテリアルのマイクロサーフェスに影響するかを見てみましょう。粗い表面ほど幅広くてぼやけたスペキュラー反射が見られますが、滑らかなサーフェスだとより鮮やかで鋭いスペキュラー反射が見られます。
どのゲームエンジンでコンテンツのオーサリングをするかによりますが、製作したテクスチャはグロスマップでなくラフネスマップと呼ばれる事があります。実際にはこれら2つの種類の違いは小さいですが、ラフネスマップは反転マップを持っているかもしれません(?)。例えば、暗い値は"光沢のある/滑らかな"表面と同等で、明るい値は"荒く/くすんだ"表面と同等です。デフォルトとして、ツールバッグは白を最も滑らかな表面を意味し、黒は最も粗い表面を意味します。もしグロスマップ/ラフネスマップを反転スケールでロードした場合は、glossモジュールのチェックボックス"invert"をクリックしてください。
反射性
反射性は「表面で反射する光のパーセンテージ」を表します。(スペキュラー、メタルネスそしてIORといった)反射性(別名:基礎反射あるいはF0)入力の全種類は「真上から見た時に表面がどれぐらい反射するか」を定義していて、フレネルは「グレージング角度で表面がどれぐらい反射するか」を定義しています。図:反射性の比較図
絶縁体マテリアルにとって「反射性の範囲がどれぐらいせまいか」を留意するのは重要です。エネルギー保存則の概念と組み合わせる事で「表面の変化は一般的にマイクロサーフェス内で表現されるべき」と結論付ける事が容易になります。与えられたマテリアル種類にとって、反射性はかなり一定に保たれる傾向にあります。反射色ははっきりしない白っぽくなる傾向があり、金属は色がつく傾向にあります。このように、反射性/明度/色がまとめられている1枚のマップ(一般にスペキュラーマップと呼ばれる)は、メタルネスマップとして落とし込まれるかもしれません(?)。
メタルネスマップを使う時、絶縁体の表面(メタルネスマップで0(黒)が全ピクセルにセットされている)は、固定された反射値(linear:0.04, sRGB:0.06)が割り当てられて、アルベドマップを拡散値として使用します。金属表面(メタルネスマップで1.0(白)が全ピクセルにセットされている)は、スペキュラー色と明度がアルベドマップから引き継がれ、拡散色はシェーダー内で0(黒)がセットされます。メタルネスマップのグレー値は部分的に金属として扱われ、アルベドから反射性を参照し、その値に比例して拡散色は暗くなります。(部分的に金属マテリアルは稀です)
図:スペキュラー vs メタルネス
もう一度言っておきます。メタルネスマップは多かれ少なかれ従来のスペキュラーマップより物理的に正確です。しかしながら、その概念はより理解しやすいものとなっています。そして、メタルネスマップはメモリ節約のためにグレースケールスロットに一まとめにする事ができます。スペキュラマップを使用せずメタルネスマップを使用する欠点は、絶縁体マテリアルを正確な値で制御しにくい点です。
伝統的なスペキュラーマップはより制御しやすいスペキュラーの明度と色を提供します。そしてある特定の複雑なマテリアルを再生しようとする際により柔軟な制御を提供します。スペキュラマップの主な欠点は一般的に24ビットのファイル結果として保存されるためより多くのメモリを消費する点です。そしてアーティストに正確な値を取得するために物理マテリアルプロパティの深い理解を要求します。それは見方によって肯定的にも否定的にもなりえます。
PROTIP:メタルネスマップは0~1の間の値を使うべきです(遷移する場合の幾つかのグラデーションは問題ありません(?))ペイントされた金属のようなマテリアルは、塗料は絶縁体なので金属用の値をセットすべきではありません。メタルネス値は対象マテリアルのトップレイヤーを表すべきです。
屈折インデックス(Index of Refraction、以下IOR)は反射性を定義する別のアプローチで、スペキュラマップやメタルネス入力と同等のものになります。スペキュラ入力と最も大きく異なる点は「IOR値は異なったスケールで定義された値」という点です。IORスケールは真空に関してどれぐらい早くマテリアルを通過するかを定義するものです。水を表す1.33というIOR値は水中を通る際に光は真空と比較して1.33倍の速度でゆっくり通過する事を意味します。より詳細はFilmetrics Refractive Index Databaseで確認することができます。
絶縁体の場合、IOR値は色情報を要求しないので直接インデックス領域で入力可能になります。その際は、消滅(extinction)フィールドが0にセットされる必要があります(?)。色を持つ反射をする金属の場合、RGBチャネルにそれぞれ入力する必要があり、これは(マップの各チャネルが正しい値を格納する)一枚の画像マップで実現可能です。
スペキュラマップあるいはメタルネス入力とは対照的にIORを使用する事は一般的にお勧めできません。なぜならIORは通常ゲームの用途として使われないからです。そして多重マテリアルとテクスチャ内で正しい値を取得する事は難しいからです。IOR入力はToolbag2でサポートされていますが、理論的ではなくより科学的な意味でサポートされています。
フレネル
フレネルは「グレージング角度で表面が反射する光のパーセンテージ」です。画像:フレネル比較図~フレネルとマイクロサーフェースの関係性(横軸0.0-1.0:マイクロサーフェス
フレネルは全種類のマテリアルがグレージング角度で100%反射するようにするには一般的に1にセットすべきです(メタルネス反射モジュールで値を1にロックする事)。より鮮やかあるいはぼんやりしたフレネル結果に影響するマイクロサーフェスにおける分散は自動的にグロスマップ経由で定義されます。
注意:Toolbag2は現在フレネル明度の制御できるテクスチャマップ機能をサポートしていません!!
アンビエントオクルージョン
アンビエントオクルージョン(以下AO)は「大規模スケールの遮蔽光」を表して、一般的に3Dモデルからベイクして生成されます。画像:アンビエントオクルージョンマップの例
アルベドやスペキュラマップにベイクするのとは対照的に別マップとしてAOを追加する事はシェーダーでスマートな実装方法で使用する事を可能にします。例えば、AO機能が、動的ライトあるはスペキュラ反射からの直接拡散光でなく(Toolbag2のイメージベースライティングシステムの拡散要素である)Ambient Diffuse Lightのみ遮蔽したりする場合に応用できます。
AOは一般的にスペキュラーやグロスマップに乗算するべきではありません。AOをスペキュラマップに乗算する事は以前、不適切な反射(例えば、遮蔽されたオブジェクト上で空の反射がするといった)を軽減するための共通テクニックとして使用されてきました。しかし、近頃はローカルスクリーンスペース反射という内部オブジェクトの反射を実現するより良い手法画存在するので、その手法は使う必要がありません。
キャビティ
キャビティマップは「小規模スケールの遮蔽情報」を意味し、一般的に3Dモデルからベイクしたりノーマルマップから生成する事ができます。画像:キャビティマップの例
キャビティマップを乗算する際、キャビティマップは表面の凹んだ領域情報のみ含ませ、凸面の領域情報は含めるべきではありません。キャビティマップは、ほとんど領域が白でライトが捉える表面の埋め込まれた領域を表現するための一部の薄暗い領域によって構成されます。キャビティマップは、環境光と動的ライトを使用して拡散およびスペキュラー共に影響を与えます。
代わりに、1枚の反射オクルージョンマップはCavityスロットにロードする事もできます。ですが、この設定をする際はdiffusion cavity値が0である事を確認してください。
マテリアル値の探索
PBRシステムで作業する際に最も難しいチャレンジは、正確で矛盾のない値を探索する点です。インターネット上には数多くの計測値の情報が存在します。しかしながら、十分信頼できる情報をもつライブラリを探すのは苦労するでしょう。QuixelのMegascanサービスは非常に有益です。それらは現実世界のデータからスキャンしキャリブレーションしたタイリングテクスチャの多くのライブラリを提供しているからです。(現在はベータ版がリリースされている)
画像:QuixelのMegascanサービスのマテリアル値チャート
ほとんどのライブラリのマテリアル値は各研究室の状況下での生のマテリアルから計測されている傾向があります。pureness of material, age, oxidization(酸化)そしてwearといった(Toolbag2の)パラメータ要素は対象オブジェクトの現実世界の参照値にバリエーションを生み出してくれる可能性があります。
Quixelのスキャン値は現実世界のマテリアルから計測されたもので上述したような様々な状況に依存しているため、特にグロス/ラフネスの場合は同じタイプでありながらもしばしば微妙な変化があるでしょう。上述したマテリアル値チャートの値は最初の目安として捉えるべきで確定した/絶対的なレファレンスとしては捉えるべきではありません。
テクスチャコンテンツの生成方法
図:マルチレイヤーにより作成したPBRテクスチャの応用例
PBRシステム用のテクスチャコンテンツの生成方法は数多く存在します:選択する正確な手法は個人の好みやどのソフトを使用しているかにも依存します。ここでは私が以前に作成した上図に示しているレンズマテリアルを例にその手法を簡単に説明したいと思います。
まず、Megascansからタイリングテクスチャの組み合わせを使用し、各表面の種類ごとにToolbagで基本マテリアルを生成します。次に最適なレファレンス、ロジックそして観察が欠落しているマテリアルの値を決定します。Toolbagで基本マテリアルを生成する事は素早く値を調整する事を可能にし、最終結果のとても正確なプレビューを確認する事ができます。私は最終的なベイクをする前に各そのテクスチャをどのように仕上げるかのアイデアをクリアーにするために、よく基本マテリアルを直接自分の高解像度のポリゴンモデルに貼り付けます。
基本マテリアルのセットアップが終わったら、私はPhotoshopにテクスチャとその値を持っていき、論理的手段としてそれらをレイヤーに登録していきます。一番下にはbrass(黄銅)を、nickel plating, matte primer, semi-gross textured paint, painter for letteringそして最後にred glossy plasticを登録します(詳細は画像を参照)。このレイヤーセットアップは、各レイヤー下の様々なマテリアルをシンプルなマスクで明らかにするのを容易にする効果があります(?)。
dDoやMariそしてSubstance Designerでも似たレイヤー機能は実現可能です。
図:各テクスチャ(albedo/reflectivity/microsurface/normal)例
基礎レイヤーのセットアップと様々な着用(wear)ステージを表現するためのブレンド作業を終えたら、幾つかの詳細を追加しました。まず私はdDoを使用して埃と汚れ用パスを生成するためにdDoを使用しました。そしてグロスマップにおいて最適な表面のバリエーションを生成するための調整を行いました。
PBRシステム用のコンテンツを生成するために使用する正確な方法は最終結果よりそれほど重要ではありません。ですので、まずは気楽に実験をしてどの手法があなたのニーズにベストかを確認してみてください。しかしながら、ある特定のライティング環境でのより興味深いマテリアル値の調整は避けるべきでしょう。使用するマテリアルのためのサウンドベースの値は著しくプロセスをシンプルにして、正確性と大規模プロジェクトでのアセットの再利用性を促進し、アセットがどのようにライティングを下としても常に良い見た目になる事が保障されるでしょう。
Artist Q&A
我々はToolbag2がリリースされて以降、次々に公開されるToolbag2上のPBR作品に感銘を受けてきました。ですので、ここでは幾つかの非常に優れた作品を紹介する機会を設けて、その作品を作ったアーティストに幾つかのPBR関連の質問をしたいと思います。Wojciech Klimas
Wojciech Klimas氏はDNVで働くポーランドのアーティストで、現在はSurvey Simulatorプロジェクトで働いています。Wojciech氏はフリーランスワークとしても活動しています。是非彼のポートフォリオをチェックしてみてください。図:Wojciech Klimasのアートワーク
Q. PBRワークフローを適応する観点から最も難しい事は何でしょうか?
A. 最も難しい事は、正確なアルベド、反射率そしてラフネスの値を維持する事だと思います。ある一つの特定のライティング状況においてよい見栄えにするためにうそをついたり値を調整する事はいつでも可能です。しかしこれは他のライティング状況で悪い結果を引き起こすかもしれません。もしこの調整を物理的に正確な値を用いてこの調整を正確に行えば、全ての状況において良い結果が得られるでしょう。現実より優れた見た目はないでしょうから:)
当初は、私は1つのスクリーン上でPhotoshnopを使用し、もう一つのスクリーンで異なるマテリアル反射性チャートを参照して作業をしていました。ですが、経験を積めば積むほど値調整作業は容易になってきて、それほど頻繁にチャートの値をチェックする必要はなくなってきました。
Q. 各PBRマテリアル用にどの値を使用するかをどのように決定していますか?
A. 通常インターネット上の研究された値を参照します。ただ、自分自身でマテリアルを計測するのは担当範囲外ではありますが、より理解を深めるために実際に自分自身で計測したいとも考えています。
Q. 素晴らしい見た目にするためのTipsを共有していただけませんか?
A. とても難しい質問ですね。答え得るベストなアドバイスは「物理を勉強する事」ですね:)。物理の概念があるとなぜ各マテリアルがそのように振舞うのかについて実に役立つと思います。イケテル見た目にするためのショートカットはないと思います。純粋に実践、実践、実践する必要があると思います。
Joeri Vromman
Joeri Vromman氏はDAEの学校に行く予定のベルギン在住のアーティストで、また生徒の傍らフリーランスとしても活動しています。彼の作品の詳細はこちらのサイトをご覧ください。画像:Joeri Vromman氏のアートワーク
Q. PBRワークフローを適応する観点から最も難しい事は何でしょうか?
A. 最も厳しい部分は、様々なソースから有益な情報をまとめる点でした。私はシングルアーティストなので、多くのスタジオが持つような膨大なれソースや便利なツールにアクセスする事ができなかったので。当初はとてもそれが圧倒されるような大変な作業と思っていました。ですが、いったんやり始めればだんだんそのプロセスに詳しくなってきて、各ソースを素早く集める事ができるようになります。私の経験上、そのステップはそれほど大きいものではなかったと言うことは明らかになりました。そして物理ベースシェーダー用のテクスチャを格段に素早く作れるようになりました。
Q. 各PBRマテリアル用にどの値を使用するかをどのように決定していますか?
A. 私が好きな作業方法は以下のステップで構成されています。
- 各マテリアルの種類/対象オブジェクトのパーツのリファレンスを集めます
- 各マテリアルの種類用の荒いブロックを作る事から始めます。これは正確である必要はありませんが、できるだけ最終イメージに近くなるべきです。そうする事で調整しやすいよいベースマテリアルを持つ事ができます。
画像:Wojciech Klimasのアートワーク2
各マテリアル毎に、まず私は反射率の値を設定します。これらはオンライン上で様々なチャートがあるのでそれらを参照しています。もし特定のマテリアルで反射率の値が見つからない場合、論理的な理由からその値を決定します。(例. 擦り切れてるゴムは反射性は低く、黄銅は銅と亜鉛の融合になるだろう等)
反射率の値は、着手するのに最も簡単なパラメータで、他のマップにとって良いベースになります。絶縁体の場合、非金属が通常反射する微小の範囲内の値にキープ&キープする事は重要です。金属の場合、まず拡散要素を黒くして、最適な反射率の値を探す事が重要です。その後、通常3つのカテゴリ(shiny, middle あるいはrough)においてマテリアルをソートする事により、素早くラフネスの値を割り当てます(?)。次に、アルベドカラーを取り上げ、矛盾なく暗くなりすぎてないかを維持するために注意を払います。私はまた様々な空中画像に切り替えてそのマテリアルが様々なライティング状況において矛盾がないかを確認します。いったんこの初期ステージが終了すると、私はこれらの値をよりよくチューニングするため観測に戻ります。なぜなら全てのマテリアルは異なっていて、PBRの概念を頭に入れておく必要があるからです(?)。この時点で、私は基本的なOverlayをマテリアルのノーマルマップに追加して、凸凹なプラスティックのような感じで、表面のバリエーションを増やしていきます。
Q. 素晴らしい見た目にするためのTipsを共有していただけませんか?
A. 私見ですが、(選択肢から選択する反射性値のように)ある特定のマテリアルが容易に得られたとしても、確実にそれらが信用できるという事ではないと思います。信用できるマテリアルを得るキーは依然として検証中で、現実世界のマテリアルを最終的なテクスチャに説得力のある見た目にいかに変換することができるか、だと思います。
参考文献
- Sebastien Lagarde’s Adopting a physically based shading model
- Sébastien Lagarde’s summary of Rendering Remember Me
- Slideshow of Real Shading in Unreal Engine 4
- Mike Seymour’s Monsters University: rendering physically based monsters
>ラフネスマップは反転マップを持っているかもしれません(?)
返信削除グロス(光沢)マップでは、なめらか部分を1、まったくそうでない部分を0として表現しますが、
ラフネス(荒さ)マップでは、なめらか部分を0、まったくそうでない部分を1として表現している場合があるということだと思います。